糖質に含まれるブドウ糖と肝臓の働き
生きていくうえで絶え間なく必要なエネルギーを補給するために、肝臓は毎分1.8 ~ 2.2 ㎎/ kg(体重)のブドウ糖を血中に放出し続けています。
激しい運動や脳を使う事でプラスアルファのエネルギーが必要になりますが、血中に十分なブドウ糖がない場合、肝臓は、蓄えていたグリコーゲンをブドウ糖に戻すほか、アミノ酸や脂質に含まれる グリセロールを原料にブドウ糖を作り出して活動をコントロールしています。
このように「ブドウ糖」は大切なエネルギー源ですが、ではそのブドウ糖が足りなくなってしまった場合はどうするのでしょうか?その時に登場するのが「ケトン体」です。肝臓は中性脂肪が分解されてできた脂肪酸から「ケトン体」という物質を作り出します。筋肉も脳も、エネルギー源としてケトン体を利用することができます。逆に、ブドウ糖がなくてもケトン体があればそれでいいかというとそうではありません。
ケトン体は酸性物質なので、増えすぎると血液が酸性に傾く「ケトアシドーシス」を起こします。重症の場合、全身のさまざまな機能が低下します。やはり基本のエネルギー源はブドウ糖で、ケトン体はピンチヒッターといったところでしょうか。
腸内環境にも大切な働きをする糖質
人間のからだは、約 60 兆の細胞で構成されます。一方、人間の腸内にいる腸内細菌の総数は、その 10 倍の 600 兆を超え、総重量は 1kg にも及ぶと言われています。この「共存者」たちは宿主である私たちと影響し合って生きています。
例えば 2011 年には高カロリーな食事を 3 日間続けただけで、エネルギーの吸収効率を上げて肥満を助長するように働く「肥満菌」が増えてしまうことが確認されました。もちろん便秘や下痢、腸の感染症にかかりやすいかどうかといったことには、腸内細菌のコンディションによるところが大きいと言えます。
腸内細菌は、人間が消化・吸収した残りものを餌にしています。でんぷんの中でもなかなか消化されない「難消化性でんぷん」や「食物繊維」は腸内細菌のごちそうです。難消化性でんぷんはご飯やパン、スパゲッティなどの穀類、じゃがいも、豆類などに含まれています。これらを食べた腸内細菌は、「短鎖脂肪酸」という成分を生み出します。
「短鎖脂肪酸」は腸の細胞のエネルギー源となり細胞の生まれ変わりを促すことで、キレイで丈夫な腸を作ってくれます。また腸内を酸性に傾けて、あまり増えてほしくないタイプの腸内細菌が住みにくい環境にしてくれます。
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